交渉の仕方
よい交渉とは、まず皆なが同じ目的に向かって歩き出すところから始まります。後はただその目的へどう近づいていくか、ルートを決めるだけ。交渉が行き詰まってしまった時は原点に戻り、皆なが当初の目的に向かって歩んでいるのかどうか確認してみればよいのです。そもそも交渉とは、バランスの取れた共通の着地点を見つける行為です。決して、一方がもう一方をやり込めたりすることではないのです。その基本は、柔軟な相互理解といえるでしょう。
実際の交渉の最重要課題が「報酬はいくらか」という一点に集約される事も多いですね。しかしクリエイティブな作品を提供するにあたって、その交渉の中味は単に数字を決めるばかりではないと思います。クリエイティブビジネスの交渉において、あなたが考慮しなければならないのは ↓
- ライセンス、著作権の詳細
- 作品が使用される領域と使用の権利保持について
- 重要なポイントや転機となった事点を振り返ってその状況を分析
- プロジェクト不履行時のキャンセル料
- 報酬の支払いの方法と滞納時の罰則
- 出張や他の土地での滞在はあるか、細かな追加事項とそれらにかかる経費
- 締め切り、提出日とその方法
- 作品提出後に追加の仕事が発生した場合
- 契約の法的処理と法的保証について
交渉における項目は多岐にわたります。そこで、ある項目についてはある程度妥協し、そのかわり他の項目においては便宜を図ってもらうことになります。報酬や経費など値段交渉で公平な数字を獲得するためには、もちろん全ての項目について良い結果を獲得できるようにするとともに、ある程度は妥協してもよい項目というのを考えておくのも大切なこと。そうすれば、納得のいく金額での交渉となるでしょう。
このサイト上でも 「作品の価値 は、人がその作品にいくら支払うのかによって決まる」と示していますが、だからといって自分が考える最低ラインより低い額の提示に同意する必要は全くもってありません。その最低ラインの額というのはそもそもどの辺りであるのでしょう。それを見るために多くのヒントを与えてくれるのが、 キャッシュフローのフォーキャスト (予報図)です。もし、ある仕事がその完成に6週間を要するにもかかわらず、3週間の経費分と同額の報酬しか提示されなかったとします。その時あなたには3つの選択肢があります。
1)仕事を断る
2)仕事を受け、かつ別の仕事を探す ー その時間があればの話だが ー
3)金銭的に困窮する
大切なのは、経済的な犠牲を払ってでも受ける価値のある仕事あるいはクライアントであるのかということに集約されます。
「交渉とは発見すること、創造すること、共通の地点に立つということ」
これを意識して交渉を進めていけば、報酬など数字に関してもいい合意点に到達できることでしょう。まず、制作にかかる経費(すべての経費)を計算すること。それに、その仕事のために費やす時間のため他の作業が不可能になるのでそれを「リサーチ料」として上乗せする。自分の仕事がクライアントに与える価値を計算し、それも要求額に加えるます。自分で納得がいく額を要求する事が肝心ですが、同時にその額をあまりきっちりと正当化しようと努力しなくてもよいのです。作品を自分なりに評価したその意見を申し訳なく告げるのではなく、この作品はこれこれの価値があると毅然と伝えるだけのことなのです。報酬の交渉に関しては、値切られることも予期していなくてはなりません。値段の交渉で最悪のケースは、こちらの出した額がすんなりと受け入れられる場合です。何故ならそれは、クライアントはあなたが思うよりあなたの仕事を評価し、より高い額を支払う用意があったことを示しているに他ならないのですから。
もし交渉のなかで力のバランスを欠いていると感じたら、その場から立ち去った方がいいでしょう。クライアントが提示した評価額に同意できないということを、礼を欠くことなくきちんと説明すること。少額の報酬で受けてしまった仕事を片付けている時間が無駄になってしまいますから。それと同じだけの時間を、より高い金額を払ってくれる他のクライアントを探したり、より良いクライアントを惹き付けるための試作品を制作するのに使うこともできることを覚えていて下さい。
多くの書籍がすでにセールスや交渉での大切なことについて述べていますが、ここでも非常に貴重な助言を紹介しておきましょう。それは、仕事の内容に同意しいよいよ自分の求める報酬額を言い放ったその直後「黙る!」ことです。向こうの答えを静かに待つことです。すでに要求額は伝えているのですから、クライアントが考えをまとめている間、あなたは自分の提示額がいかに正当であるかやなぜその金額を払う価値があるか、また、いかに素晴らしい結果を自分が生み出すことができるのかなど喋りまくってはいけません。あなたはただ静寂を守り穏やかにしている。そしてクライアントに「いいですよ」と言わせる機会を与えるのだ。
最後に、多くの人が陥ってしまう悩みについて触れておきましょう。それは「買い人の後悔」です。人は、何かを購買すると同意した直後から後悔してしまいます。それには沈着さと自信をもって対抗しましょう。「ではお願いします!」というクライアントの言葉のあと、やる気満々で合意の握手をし「やった〜、仕事とったぞぉ!」と叫び興奮しすぎないように。そのクライアントは命がけの覚悟であなたと契約、実はその仕事によって自分が損害を受けることを心配をしているかもしれません。落ち着いて心穏やかにもう一度ふり返り、家に戻ったら交渉で決まったことを 書き出し確認する という冷静な姿勢が大切なのです。
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